ひとむれ
このコーナーでは、家庭学校の月毎の機関誌である『ひとむれ』から一部を抜粋して掲載しています(毎月上旬頃更新予定です)。
職員が、家庭学校を通じて感じたことや伝えたいことを表しています。是非、ご感想をお聞かせください。
※都合により『ひとむれ』本誌と内容が異なる場合がございます。ご了承下さい。
巻頭言
園遊会の思い出
けんしゅうりょこう
研修旅行
園遊会
研修旅行実施報告
校長 仁原正幹
十月十九日には子ども達が楽しみにしていた園遊会が開催されました。園遊会は毎年秋に催される北海道家庭学校の伝統的な行事です。今年も全部で十一の模擬店が出店され、工夫を凝らした美味しい食べ物を堪能しながらの楽しい昼食懇談会が、秋の風情漂う本館の前庭で繰り広げられました。
模擬店のラインナップをご紹介しますと、石上館はピザ、掬泉寮はフライドポテトと山葡萄ジュース、楽山寮は焼き鳥、向陽寮はたこ焼きでした。各寮の子ども達と職員が何日も前から準備して、互いに協力し合いながらの出店でした。
毎年恒例のボランティアの皆さんですが、今年も三団体にご協力をいただきました。散髪奉仕の理髪店グループ・月曜会さんはお汁粉、青年会議所さんはフランクフルトソーセージ、連合さんはポップコーンとジュースという定番メニューで園遊会を守り立ててくださいました。
それに加えて、望の岡分校教員グループの焼きそば、家庭学校職員有志の水餃子とカクテキ(中国・韓国の本場の味です)、酪農班の特製ソフトクリームもありました。もちろん家庭学校給食棟伝統の五目おこわも存在感を示しました。
日頃から家庭学校を支援していただき、子ども達に励ましの言葉をかけていただいている皆様にも、今回も大勢参加していただきました。お陰様で子どもが二十六名、大人が九十五名の、総勢百二十一名にのぼる大園遊会となりました。
ここ数年、春の観桜会も秋の園遊会も天候に関係なく安直に体育館の中で行う習慣になっていたようですが、今年は春も秋も本来の趣旨に沿った形で屋外で実施することに拘りました。子ども達の情操を養うためにも、そして何といっても大人も子どもも参加者全員が家庭学校の豊かな自然を楽しみ、季節の移ろいを感じながら、想い出に残る芳醇な時間を過ごしていただきたいと思ったからです。
主催者としては空模様がかなり気になりましたが、気温が低めで若干肌寒さを感じたものの、風もなく穏やかな日和となり、皆で喜び合いました。大勢の皆さんの温かな心に触れ、秋の陽射しをいっぱいに浴びた家庭学校の園遊会は、子ども達の一生の想い出になると思います。
さて、北国では早くも冬の足音が聞こえてきました。私は峠越えの折の降雪に備えて、十月十日の連休には札幌に戻って冬タイヤに履き替えてきています。
子ども達の屋外での作業班学習も一年の総まとめの時期を迎え、十一月十九日と二十日に開催される「作業班学習発表会」に向けての準備が始まりました。彼等の成長振りを是非見に来てください。
掬泉寮生 ジュンヤ
自分は園遊会は2回目です。昨年の園遊会は天気が悪くて今年のように外ではできなかったので、今年は外でできてうれしいです。今年の椈泉寮の出し物はフライドポテトと寮のみんなで山に行って採ってきた、山ぶどうジュースでした。それにおまけにカボチャもつけました。
来るお客さんたちはフライドポテトが細くて、これは何?と言っていました。なので、美和先生が「これはフライドポテトです。子どもたちに何種類か試食してもらったら、これが一番人気がありました。きっとスナック菓子みたいで食べやすいのだと思います。」と言っていました。ぼくも食べたらカリカリしていておいしかったです。
園遊会にはいろいろな人が来ました。齋藤先生や合気道の先生も来てくれました。
いろいろなものを食べました。特においしかったものは選べませんでした。なぜかというと、みんなが自分達のためにやってくれたことなので、選ぶことはできませんでした。
椈泉寮が園遊会で出した食べ物は、すべて寮のみんなで山に採りに行ったり寮で取れたものだけを使いました。なので、お客さんが喜んでくれて普通の倍うれしかったです。
月曜会の人たちも来てくれてお汁粉を作ってくれました。そのお汁粉の中に入っていたカボチャ団子といも団子の材料も家庭学校で取れたもので作ってくれました。月曜会の人たちが家庭学校で取れたものを使ってもらったのでさらにおいしくなりました。ありがとうございました。
ほかの寮もいろいろな食べ物を出していておもしろかったです。家庭学校のみなさんや家庭学校の外の人たちのみなさんが、用意してくれたおかげで、楽しい園遊会ができました。ありがとうございました。
楽山寮生 ダイスケ
ぼくははじめてのけんしゅうりょこうでした。一日目は旭川にいきました。
そこで旭山動物園にいきました。旭山動物園で一番楽しみにしていたのはオランウータンでした。オランウータンの赤ちゃんがめっちゃくちゃかわいかったです。それいがいにもいろいろまわりました。まわったときにばいてんがあったので、そこでオランウータンの人形を買いました。
そのあととまるばしょのネイパル深川にいきました。そこでよるごはんでちょっとしたバイキングをしました。おいしいものがたくさんありました。
食べおわったあとにクライミングをしました。はじめてだったのでのぼるのがむずかしかったです。そして二回目から色をきめてやりました。みどりでした。ふつうにむずかしかったです。
そして、へやにもどりました。へやでふろのじゅんびをしました。そしてじゅんばんでふろにはいりました。大きかったです。ふろからあがったらアイスをかいました。そのあとみんなでおやつをかいました。
そして、おこづかいをつけてへやでねるじゅんびをしました。4人でよるにはなしてたら、おこられました。そのあとねました。そのあと、きづいたらあさでした。そして、へやをそうじしてネイパル深川をでました。
そして、アイスづくりをしました。おいしかったです。そのあと川くだりをしました。めっちゃ楽しかった。そしてホテルにいきました。
そして、次の日にホテルで朝ごはんを食べました。そして、にもつをかたづけて、サイパルにいきました。そして、サイパルの中であそびました。そして、プラネタリウムをみました。
そのあとに、しんぶんこうじょうにいきました。すごかったです。そこでしんぶんしをもらいました。そして、えんがるにかえりました。
石上館生 コウキ
バスに乗って、驚いたのは、バスガイドの存在である。バスガイドというのは、生まれて初めて経験したので、珍しいとかは、分からないのだが、一番の驚きは、この学校にそんな雇う金があった事に驚きだ。次に驚かされるのは、意外と、バスガイドが、面白いという事だ。生意気な云い方になってしまったのは、悪気があってした訳ではなく、単純に俺の語い力が無いだけだ。
生意気に耳を傾けていると、最初の目的地に着いた。旭山動物園は悪あがきで、色々と試みた結果、生き残った等の説明をガイドさんがしてくれた。無論、そんな失礼な言い方をガイドさんがした訳ではなく、俺のページ上の都合だ。
園内も見終わり、昼食を(多分)遠足に来ている幼児達の隣で摂ることになった。先生の一人が園児の一人に話しかけたようだが、さすがに幼児といえども、髭の生えた怪しい中年の男には、無視をするようだ。
朝、2日目。ネイパル深川で朝食摂る。昨日の晩も頂いたのだが、どうもおかしい。栞には、ちゃんと『バイキング』と書かれているのに、こんなみすぼらしいバイキングは初めてだ。もしかして世間のせちがらさってヤツか?
バスに乗ると、中々、出発しない。窓を見てみると同朋のS君がなにやら、先生達と白い液体を囲んでいる。後で聞くと、シャンプーが漏れたらしい。ドジしやがって。
移動し、次のホテルで昼食を摂り、その後、ラフティング。俺はこの6文字を見て、ピンとこなかったが、どうやら、川で舟に乗るという行為が6文字にも置き替えられるらしい。挨拶といって、他の乗組員と出会った時は、水をかけるという説明をボートの上でされた俺は、すぐさま、水をひっかける練習をした。
そして、終わると、ホテルに移動。バスのブレーキが壊れたりしたが、その話はまぁ、どうでもいいだろう。着き、バイキング。肉、美味。これがバイキングじゃないか?ネイパル深川よ。隣の同士はライチを皿から落ちる程、食べているのは、何なんだ?
三日目。ライチ野郎といい、どうやらこの学校には一つの物を腹いっぱい食べないと気がすまない奴が多いらしい。
昼食はファイブスターで頂いているのだが、ライチ魔に続き、枝豆野郎が出現した。皿からのっけても、のっけても落ちる。皿回収に来た店員さんが、汚い目で見てた。俺は関係ないぞ!
夜、研修旅行も終わりだった。ガイドさんが最後に良い事言った。博物館でプラネタリウムを見た事を思い出して、空を見上げた。無数の星がきれいに輝いていた。僕の書ききれない思い出の様に。
児童自立支援専門員 坂本 英人
今年の園遊会も沢山の方々に御来校と御協力参加をして頂き、良き園遊会を開催出来たことをお礼を申し上げます。
今年は天候にも恵まれ、野外でお祭り気分を存分に感じた一時であったように思います。形としては例年通りでありますが、今年も新たなメニューがあり、ピザや山ぶどうジュース、たこ焼き、水餃子等沢山の食べ物が生徒達を圧倒していたように感じます。
また、毎年協力して頂いている月曜会、青年会議所、連合の方々にも御馳走を作って頂き、本当に感謝しております。
私が毎年園遊会の際に感じることは、生徒達が楽しそうに生き生きと参加している姿が印象的です。日頃はほとんど外に出る機会もなく、その中で少しでもお祭り気分や、美味しい物を食べさせたいということからこの園遊会が始まったのではないかと思います。生徒方も前日から当日まで仕込みやら、当日作ったりと仕事はしますが、主役なのです。大いに楽しんでほしいのです。
また、沢山の人達と触れ合うことによって、大人への不信感がなくなり、親しみを感じることが人格の向上につながるのではないでしょうか。
私は毎年園遊会に参加し感じていることは、生徒達は皆当たり前の事は解っているのです。例えば、挨拶であったり御礼であったり、また言葉で発しなくても笑顔で接するということ。今回は特にこのような所が目に付き、喜ばしい印象受けました。
生徒達の笑顔は職員にとって励みであり活力です。これからも生徒達にはけじめをしっかり教え、楽しむときには大いに楽しむこと、やる時はとことんやること、ルールをきちんと理解し守ることを指導していきたいと思います。今後も沢山の行事の中で体験を積み、成長していってくれることを期待したいと思います。
児童自立支援専門員 高橋 徹
去る九月三十日から十月二日までの二泊三日で旭川方面への研修旅行を実施しました。
出発に先立って一群会理事会での話し合いを行い、良い研修旅行にしたいという思いを達成するために生徒自ら「ルールを守って協力しよう」という目標を設定しました。時間の厳守や行動の自律、家庭学校外の人だけでなく仲間にも迷惑をかけず、協力して楽しい研修旅行を作っていこうという思いを一言で表現できました。
結団式においては先生方からの挨拶や注意事項が例年通り行われたほかに、今年の取り組みとして旅行の目標発表と説明を聞いて、生徒一人ひとりが自分のしおりに書き込んで意識を持たせる取り組みと、集合の号令に素早く的確に対応するための集合整列練習を行いました。それぞれの生徒が意識を高く持って行動する事が出来ていました。
初日の見学では旭山動物園と旭川市博物館を訪れました。旭山動物園では寮単位での自由見学でそれぞれ自分たちが観察したい動物の展示を訪れて興味深く観察していたようです。主に生徒達の目を引いていたのがアザラシが泳ぐ様とシロクマのもぐもぐタイムでしたが、とりわけテナガザル(シロテテナガザル)の人間を遙かに超越したコンピュータグラフィックのような驚異的な運動能力は非常な驚きをもって観察していたようです。職員も特に興味深く観察しました。また、動物好きの生徒が多く、ふれあい館に訪れた際はアヒルに触って動物とふれあうことができましたが、ウサギとふれあうことが出来ず、残念でした。
博物館では北海道のアイヌ文化の学習を行った後、しおりとコースター作りを体験しました。それぞれアイヌ模様がデザインされており、素敵な作品を完成させていました。
宿泊場所のネイパル深川ではスポーツクライミングを体験しました。全員初めての体験だったようですが、勇敢に垂直の壁に挑み、ほぼ全員が完登する事ができました。一度目は途中であきらめた生徒も再挑戦で成功したり、三本あるルートを全て制覇する生徒もおり、それぞれの自信を深めることになったようです。
二日目は生徒が楽しみにしていたラフティングを体験しました。空知川の支流、複雑な流れと非常に澄んだ清流での実施でした。インストラクターの指示に従い、力を合わせてそれぞれの艇が急流を乗り越えていきますが、途中で落ちて救出される生徒や、安全な場所で落ちて良いという指示のもとで自分から落ちて泳ぐ生徒もおり、雄大な自然の中でそれぞれ楽しく安全に水遊び出来たようです。また、その河川にはイトウが生息しているようで、釣りに興味のある生徒は職員とイトウの話題に花を咲かせていました。
いよいよ最終日には科学館にて展示見学で科学に親しみ、プラネタリウムで天体観測を行いました。展示見学では様々な科学の不思議に触れ、興味深く体験や観察を行っているようでした。
その後、北海道新聞社旭川工場を見学しました。丁寧な説明を受けた後に実際に稼働している様子やその説明を受けて大変勉強になったようです。工場が非常に清潔で先端設備を以て新聞製作の過程が行われていることが分かりました。
日程中に予定外の出来事は若干ありましたが、職員生徒の怪我や事故もなく、それぞれがルールを守り協力して適切に行動し、見聞と自信を深めることが出来た有意義な研修旅行とする事が出来ました。ありがとうございました。