ひとむれ
このコーナーでは、家庭学校の月毎の機関誌である『ひとむれ』から一部を抜粋して掲載しています(毎月上旬頃更新予定です)。
職員が、家庭学校を通じて感じたことや伝えたいことを表しています。是非、ご感想をお聞かせください。
※都合により『ひとむれ』本誌と内容が異なる場合がございます。ご了承下さい。
家庭学校ー歴史と今ー
校長 熱田洋子
森の学校といわれる家庭学校は六月半ばから雲の中にいるように朝夕霧に濡れて足元がぬかるむまま、家庭学校・望の岡分校の大運動会は開かれました。そのようなハンデを負っていましたが、小中学生は練習の成果を発揮して協議に健闘してくれましたし、組体操も素晴らしい出来栄えでした。生徒には不利なコンディションでも頑張れることの一つの経験になったのではないでしょうか。
一方では、支えてくれた高校生たちの活躍もとても清々しいものでした。遠軽高定時制に通う五人は、前日に学校レクがあって休む間もなく、紋別高等養護学校の三人と一緒に、テキパキと裏方の働きも担ってくれました。普段は一緒の行事参加が少ない高校生ですが、この日は生徒全員の参加になり、小さい一群も活気づきました。
今年も、運動会にはたくさんの方々から心のこもった応援やお心遣いをいただき、有難く心から感謝いたします。
<専門家のご指導に感謝>
運動会の翌日は、山林顧問の森島先生、佐藤先生に来校していただき、家庭学校の山林の状態について、お話をうかがいました。植生や皆伐の時期、林道の確保、本館へ上る沿道の大木の枝が大型バスの屋根を擦るようになったので、その対応策と、さらに十月からの森林経営計画への助言など、家庭学校の山林を生かしていくために大切なことを教えていただきました。
また、酪農学園大学の須藤先生に続き、同大学後援会に所属し地域活性化のために働いておられる紺野先生が七月に来校され、牛や牧草の状態などにご指導をいただきました。今回は一緒に紋別市内の酪農家の喜多さんご夫妻にも牛舎や牧草地を見ていただき、実践家からの助言を合わせて聴くことができました。須藤先生には当校酪農部の経営診断をしていただいており、改善状況を報告して、その都度指導をお願いしています。
このように家庭学校では専門家の方々に助言をお願いして支援をいただいており、さらに学校運営を円滑に進めるため、幅広い分野から顧問になっていただけるようお願いしたいと考えております。
<建物・博物館の見学者>
当校には歴史のある建物があり、博物館には考古学的な収蔵品が展示されていますので、見学者がよく見えられます。大正八年創立の禮拝堂、有名な田上義也氏設計の本館・桂林寮・楽山寮をご覧になるため建築の専門家である角先生をはじめ北海道文化財保護協会の皆さんが七月十三日に来校され、一つ一つ興味深く丁寧に見て行かれました。
博物館には鳥類、爬虫類、哺乳類などの剥製が五十点以上あり、年数も相当経っています。その中には希少な価値のあるものもあって、七月五日に酪農学園大学野生動物医学研究センターの浅川先生が、研究上の高い関心を持って、見学に来校されました。
<家庭学校の紹介>
七月三日、キリスト教児童福祉連盟の研修会が函館で開かれました。『いと小さき一人のために~これらの小さなものが一人でも滅びることは、天の父の御心ではない~』をテーマに、一人一人の子どもの教護と自立をささえていくことについて学び合うというもので、家庭学校の歴史と現状について、パワーポイントの資料を基に紹介させていただきました。
いま、児童福祉のニーズは深刻な被虐待の状況を受けて社会的なニーズとして重みを増し、新たな使命での施設運営が求められているという課題がありますので、参加された施設の皆さんとともに、キリスト教社会事業の原点に立ち返り、今の時代に求められる子どもの福祉の充実と私たちの使命は何かを確認することとなりました。他の児童福祉施設の役割や働きを知る程に、連携の大事さを思わされています。