ひとむれ
このコーナーでは、家庭学校の月毎の機関誌である『ひとむれ』から一部を抜粋して掲載しています(毎月上旬頃更新予定です)。
職員が、家庭学校を通じて感じたことや伝えたいことを表しています。是非、ご感想をお聞かせください。
※都合により『ひとむれ』本誌と内容が異なる場合がございます。ご了承下さい。
巻頭言
冬季一時帰省について
冬期残留行事について
冬残留行事を終えて(後半)
授業の一こまから
児童の声
校長 仁原正幹
北海道家庭学校はこの冬も厳しい寒さに見舞われています。本稿を認(したた)めている今は一月三十日の朝ですが、今朝も気温がマイナス二十二度まで下がりました。そのような中で子ども達は先週一週間、自衛隊の皆さんのご指導によるスキー学習に奮闘しました。昨日はスキーの滑降競技のために平和山山頂からのコース作りを行い、今日からは雪像コンクールに向けた雪像作りに入ります。高等支援学校の入試や、春からお世話になる児童養護施設の見学に出かけた生徒もいます。皆それぞれに大事な三学期の忙しい日々を過ごしています。
三学期始業式前日、一月十四日の校長講話の中で、「画竜点睛」の言葉を紹介しながら子ども達に語りかけました。参考までに概要を記させていただきます。
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新年第一回目の校長講話のお話をします。暮れの二十一日から二十四日まで、私は葬儀のために家庭学校を留守にしていました。そのため二学期の終業式にもクリスマスの大事な行事にも出られませんでした。みんなの活躍が見られず、残念に思っています。ただ、家庭学校に戻ってから、家村理事長先生はじめ多くの先生方から、今回のクリスマス晩餐会は各寮の出し物が充実していて素晴らしかったことや、大勢のお客様を迎える態度や姿勢も立派だったということをお聞きし、大変嬉しく思っています。
今年のお正月は、みんなはどのように過ごしましたか。一時帰省で家に帰った人もいれば、児童相談所に短期間戻った人もいました。それから、家庭学校に残って年末年始を石上館で過ごした人もいました。帰省はできなかったけれど、スキーやスケート、カーリングなど盛りだくさんの行事に参加して、楽しく有意義に過ごすことができたと思います。
一時帰省した人達は、迎えに行った先生とともに、九日の夜までには全員元気に戻ってきました。JRの列車がシカとぶつかって、予定より遅れて戻った組もあったんだよね。みんなが冬休みの間大きな事故もなく、病気やケガをすることもなく、それぞれが安定した生活を送って、そして明るく元気に勢揃いしたことを、私は大変嬉しく思っています。
家に帰って除雪や炊事や掃除などのお手伝いをしたり、弟や妹の面倒を見たりできた。前のようにイライラして不機嫌になることがなくなった。そういうことが君達の帰省中の日記を見て、特に家族の人の書き込みを見て伝わってきました。また、家庭学校に残った人達も協力し合って楽しく生活できたことが、石上館の寮日誌を見たり、先生方からの報告を聞いてわかりました。ほとんどの人が冬休みの間も自分で自分を律しながら、安定したしっかりとした生活ができていたことがわかりました。一歩一歩着実に成長しているなと感じています。これまで家庭学校で努力してきたこと、精進してきたことが、だいぶ身になってきていると思い、大変嬉しく思っています。
さて、明日からいよいよ三学期が始まります。みんなは二学期が始まったとき、八月十八日の始業式のときに私が話したことを覚えていますか。もう五カ月も前のことで忘れちゃったかな。「家庭学校にいる間に自分自身の問題を解決できるよう、気を引き締めて生活・学習・作業に取り組んでください」と話しました。
みんなどうだったかな。前向きな姿勢で取り組んでこられたでしょうか。三学期は学年の総まとめの時期で、二カ月ほどしかない短い期間ですが、大変大事な学期です。特に、高校受験する人や、長く在籍している人にとっては、家庭学校での生活の総まとめ、集大成のときです。だから二学期と同じように、というよりもなお一層しっかりと自覚して、今この家庭学校にいる間に自分自身の問題を解決できるよう、気を引き締めて生活・学習・作業に取り組んでほしいと思います。
今日は、皆さんにある言葉を紹介します。この紙を見てください(「画竜点睛」と記した紙を黒板に貼る)。読める人いるかな。「ガリョウテンセイ」と読みます。どういう意味かわかるかな。
二番目の「竜」の字は「リュウ」だね。ここでは「リョウ」と読みます。想像上の動物で「たつ」とも言うね。「画竜」とは、竜の絵を描くという意味です。
次に、最後の「睛(セイ)」という字、「晴れ」という字に似ているけどちょっと違うよね。よく見てください。日偏じゃなくて目偏です。目の玉の中の黒い部分、ヒトミを表す漢字です。一般によく使われるのは「瞳」や「眸」という漢字ですが、この「睛」も同じ意味です。漢字の作りから見て「すみきったひとみ」という感じがするね。「点」は「つける」という意味だね。灯りをつけることを「点灯」というでしょ。「点睛」とは、「睛(ひとみ)」をつける、書き入れるという意味です。
この「画竜点睛」は、中国の故事、古い言い伝えの言葉です。ある絵の名人がお寺の壁面に竜の絵を描いていた。竜の睛を黒く塗らないで白い眼のままで残しておいて、最後にその白い眼の中に黒い墨をつけて睛を入れて完成させると、その途端に絵に描いた竜に命が宿り天に飛び去ったという故事があるようです。ビックリしちゃうね。ちょっとオーバーなようだけど、そういう言い伝えなんです。
だから、「画竜点睛」とは、ものごとを完成させるために最後の重要な部分を付け加えることとか、最後の仕上げとか、最も重要なことを意味します。ものごとを立派に完成させるための最後の仕上げという意味です。わずかなことで全体がひきたつたとえでもあります。
多くは「画竜点睛を欠く」という形で使われます。ほとんど仕上がっているのに肝心なものが不足していることや、最後の仕上げができていないことを意味します。マラソン大会で懸命に走っていて、ゴール前の最後のところで気を許して力を抜いてしまい、後から来た人に抜かれて賞を逃してしまうなんてことあるよね。高校目指して受験勉強頑張ってきたのに、最後のところで気力や体力が落ち込んで失敗してしまう、不合格になる。あるいは、家庭学校の日課に長い間真剣に取り組んできたのに、もう少しで退所というときになって油断して、気持ちが弱くなって、失敗してしまう。そういうことを「画竜点睛を欠く」というのです。
ものごとは何でも最後まで気を抜いたらダメなんだね。それまでの頑張りや努力が水の泡になってしまうことが、往往にしてあります。そういうことにならないように、家庭学校での生活の集大成になるよう、また、各学年での総まとめができるように、決して気を緩めないで、三学期の生活に取り組んでください。
さっきはみんなの成長振りを褒めました。でも、実はまだ不十分な人もいます。修行が足りないというかね、まだまだ発展途上の人も、中にはいるようです。みんなは寮の仲間やクラスの仲間と仲良く協力しながら生活できているかな。他人(ひと)のことを馬鹿にしたり、からかったり、笑いものにするようなことしてないかな。ついつい気が緩んで、相手の嫌がることをしたり、言ったりしてないかな。
みんなは自分の言動に対して相手がどう思うか、考えていますか。いつも言っていることですが、「人の気持ちがわかる人」になってくださいね。「人の気持ちがわかる人」にならないと、いくら勉強ができても、仕事ができても、結局周りの人と上手くいかなくなって、学校や職場で長続きしません。社会の一員として自立した生活を送っていくことができなくなります。「人の気持ちがわかる人になること」を毎日毎日考えながら生活してほしい。家庭学校に居る間も社会に出てからも、周囲の人と仲良くしてほしい。周りの人から慕われる、好かれる人になってほしいと、私は願っています。
みんなは家庭学校に自分を変えるために来たんだよね。多くの人はあと一歩のところまで来ていると思います。まだ入所して日が浅い人でも、毎日努力を続けていれば必ず自分を変えられるし、成長できます。「過去」はもう変えられないし、「他人(ひと)」はなかなか変えられません。でも、「未来」と「自分」は、自分さえその気になれば必ず変えられます。そして、何事も最後の詰めが肝心なんだね。
今日は「画竜点睛」という言葉を紹介しました。時々頭の中に竜の絵のイメージを想い描いて、この言葉を思い出してください。最後まで努力を続けることの大切さを忘れないでいてください。今日の話を終わります。
自立支援部長 楠哲雄
当校の一時帰省は、盆の頃に行なわれる夏季帰省、年末年始に合わした冬季帰省、それに冬季帰省が実施出来なかった子のための春季帰省があります。実施する際は当校から職員が児童相談所まで子どもを送り、児童相談所職員と顔を合わせた上で迎えに来ていただいている保護者に引き渡すことを原則としています。児童相談所職員、保護者、児童、当校職員が一斉に顔を合わせ子どもの成長を確認できる数少ない機会であります。
例外もあり、児童相談所まで送ることで逆に保護者の負担が大きくなってしまう場合には、保護者に直接家庭学校まで迎えに来ていただくことがあります。また、函館児童相談所は非常に遠く、片道五百キロ、東京・大阪間以上の距離になるため、入所前の協議で中間地点である札幌にある中央児童相談所まで函館児童相談所職員に迎えに来てもらい、あるいは送ってきてもらい、そこでバトンタッチすることになっています。
当校で初めて帰省を実施したのは昭和四十六年のこと。当初から各児童相談所で子どもを保護者に引き渡す形をとっていましたが、移動手段には変遷がありました。初めは国鉄を利用しての移動。それから札幌方面と帯広釧路方面に分かれてバスを借り上げて移動していた時期、借り上げバスと公用車を併用する時期もありました。
近年は生徒数も減少し、各児童相談所毎に中型車一台で十分となったため、公用車での移動となっていました。利便性が高いことから主に公用車を利用していましたが、子どもをより安全に送迎することと職員の負担軽減に配慮し、今回の冬季帰省を実施するにあたり、全て公共交通機関を利用することにしました。冬の雪道運転はただでさえ負担になる上に、天候が荒れると通行止めになったり、視界を遮られたりする心配もあります。当然、無理な移動は控えますが、天候の読みを誤る可能性や、広い北海道なので道中どこかで吹雪に遭遇する懸念もあります。子どもを早く家族に会わせてあげたい、子どもの帰りを待っている家族に早く送り届けたい等の気持ちが優先してしまい、判断を誤る心配もあります。また、児童相談所の場所によっては日帰りが難しいこともあります。そのため今回は試験的に公共交通機関を活用することにしました。
帰省実施後子ども達に汽車やバスでの移動の感想を聞くと、まずまず好評のようで、日頃は汽車に乗る機会があまりないため、車窓からの眺めを楽しんだようでした。また、職員も運転しない分、子どもとの談笑を楽しむことができたようでした。雰囲気はさながら修学旅行のようだったとのことでした。前日の天候が荒れていて公共交通機関が動くか不安に思うこともありましたが、そういうときは公用車でも当然リスクが大きいので、冬季帰省の場合は今後も公共交通機関を優先に検討したいと思っています。
主幹・石上館寮長 鬼頭庸介
今回の年末年始の帰省期間は、十二月二十七日から一月九日までの約二週間の長丁場でした。私はその期間中、一月一日から四日を除く九日間を残留児童と生活を共にしました。児童は前半五名、後半は四名でした。
期間中、様々な行事が企画されましたが、私が担当したのはクロスカントリースキー、近隣スキー場でのゲレンデスキー、北見でのアイススケートといった運動系の行事でした。私の担当以外でもカーリングがあり、こうして見てみると北海道以外ではなかなか組めない行事であることがわかります。ここでその行事ひとつひとつについて簡単に触れてみたいと思います。
まずはクロスカントリースキー。遠軽町と隣町の湧別町では、毎年二月下旬に湧別原野オホーツククロスカントリースキー大会が開催されています。その大会に昨年から家庭学校も児童と職員が参加しています。大会への参加を約束すると用具一式を大会本部が貸し出してくれます。冬休み前に用具を借りて来て、残留期間中に二、三度練習を行いました。
一回目は学校のグランドに作った手作りのクロカンコースで、二回目は近くにある太陽の丘公園に町が設置した起伏に富んだ一周の距離も長いクロカン専用コースで行いました。クロスカントリースキーは、児童にとっては単純なランニングよりは抵抗感がなく、知らず知らずに足腰が鍛えられ、短時間でかなりの汗がかける手頃なスポーツであると思います。
次にゲレンデスキー。家庭学校には校内に神社山という小高い丘があり、毎年冬になるとそこの斜面がスキー場になります。簡易リフトもついています。ただ、冬休み中はリフトも動かせないので、毎年残留期間中は町内にあるロックバレースキー場に連れて行ってゲレンデスキーを楽しんでいます。
今回は年末と年始の二回、午後から児童を連れて行って滑ってきました。今年は雪不足でメインのチャンピオンコースが滑走禁止になっていましたが、林間コースなどでも十分に楽しめます。児童は全員北海道出身なので、なんらかの形でスキーをしたことがある子たちですが、本格的に滑っていた児童は少なく、久しぶりに履いたという児童もいて、初めはおそるおそるでした。でも、すぐに慣れて、長いコースを楽しみながら滑ることができました。「また行きたい」という声が多い行事です。
三つ目、アイススケート。道東地域の北見地方は、どちらかというとスキーよりもスピードスケートの方が盛んかもしれません。北見市には立派なスケート場があり、行くと地元の少年団が本格的な練習を行っている場面に出くわすことがあります。男女を問わずどの子も無駄のない美しいフォームでスイスイと滑っており、そうした光景を間近で子どもたちに見せる機会となるだけでも価値があると思います。
今回はそうした光景に出会うことはありませんでしたが、初めてスケート靴を履いたという児童も初心者用に用意してある補助用の椅子を使って時間を忘れて楽しげに滑っていました。私も初心者同様なのですが、今回は児童の監護をしながら、休まずに何周滑れるかに挑戦し、二十周連続滑り続けることができて、自己満足に浸ることができました。行ったのが大晦日であるにも関わらず普通に営業しており、スタッフの方達も親切に気持ちよく対応してくださり、来年以降も続けたい行事です。
残留期間中は、ここに書いたクロカンスキー、ゲレンデスキー、アイススケートの他に常呂町でカーリングも行いました。ウインタースポーツの主だった種目を体験できて有意義な残留期間となりました。
ところで、もうひとつやってみたい(児童にやらせてみたい)のがスキーのジャンプ競技です。この競技だけは怖すぎて常人には無理と思っていましたが、調べてみると葛西選手をはじめ、何人ものオリンピック選手を輩出している上川郡下川町には町の中にK点が65メートル、40メートル、26メートル、8メートル級のジャンプ台があるようです。来年の冬の残留期間には、児童を連れてこのうちの8メートル級あたりから挑戦して、純ジャンプを体験させてみたいと考えています。子どもはいやがるだろうなあ…。
石上館副寮長 前谷典弘
元日から勤務となった私は、残留児童と九日間、ともに過ごしました。残留行事の大まかな計画を立てた私としては、全ての行事についてお話ししたいところではありますが、誌面の都合上印象に残った行事の報告に留まることをお許し願います。
一月六日、カーリング体験のため北見市常呂町にあるアドヴィックス常呂カーリングホールへ向かいました。現地で用具類の貸し出しを受け、早速シートへ入りました。隣のシートでは平昌五輪に出場するロコソラーレ北見の藤澤五月選手が練習初めをしており、NHKの取材を受けていました。そんな中、初心者の私たちは氷上の感覚に慣れるまで声をあげながらシートを行ったり来たりしていました。
指導員の方の説明どおり練習し、ストーンをショットできるまでに三十分ほどかかりました。ショット練習後、三人ずつに分かれ実戦形式で戦いました。各チーム一つずつストーンが円内に入りましたが、中心からの距離はほぼ互角で、計測器で判定することに…。結果、僅差で私のチームが勝利を収めました。最後は勝利のモップ掛け(後片付け)をして終了しました。指導に対する取り組み、お礼のあいさつもしっかりできており、気持ちよく帰寮することができました。
一月八日、バイキング料理と映画鑑賞に向かいました。バイキングは児童から要望が多い行事で、今回はランチバイキングでお得なプランを探し、ホテルロイヤルキタミに行きました。予約していたことで開店と同時に案内され、料理を一番乗りで選べることになりました。最初に釜飯(またはうどん)を選び、それ以外はお好みに合わせて二十品目以上の料理・デザートから選びました。一時間の時間制でしたが楽しい会話をしながらおいしい料理を味わいました。食べ過ぎて気持ちが悪くなる児童がいたのも私にとっては良い経験で、児童の観察の大切さを実感しました。
食後はイオンシネマ北見で「DESTINY・鎌倉ものがたり」を鑑賞しました。ストーリーに注目した児童、CGの美しさに魅了された児童など、子ども達それぞれの感じ方があり、帰りの車中は大いに盛り上がりました。
一月九日、残留児童は石上館から各寮へ戻り、一般寮の生活に戻りました。残留児童は残留期間中トラブルなく気持ちよい生活が送れたことを記憶に留め、残留の思い出を糧として一般寮での生活も整えてもらいたいと願っています。
望の岡分校教諭 高松開
望の岡分校に赴任して、あっという間に一年が過ぎ去ろうとしています。私は分校で、小学校の社会、図工、家庭科の教科を教えています。今年度は小学生の児童の入れ替わりがなく、一学期から二学期まで五年生二人と一緒に分校での生活を送ってきました。今回は、家庭科の授業の様子を少し紹介しようと思います。
小学校五年生から新たに勉強する教科として家庭科があります。実習が多いこの教科では、子ども達も意欲的に、一生懸命取り組みます。「先生、見て!こんなに細く切れましたよ。」とキラキラした目で切った野菜を見せにきてくれたり、ミシンで作ったエプロンに初めて袖を通した時、ドキドキとワクワクが合わさった何とも言えない照れた表情を見せたりと、子ども達の良い表情をたくさん見ることができます。
この間も調理実習を行いましたが、子ども達の反応がとても面白かったです。授業の中で、「ごはん」と「みそ汁」を作る授業があります。普通なら、炊き方、だしの取り方を指導して、「はい、計画して作ってみましょう。」と調理実習を行います。今回は子ども達にいじわるをして、「?」をたくさんつけて質問しました。「吸水は何で三〇分?」「蒸らしは何で一〇分?」「だしだけの味は?」「みそとだしを合わせた時の味は?」。「?」を解決するために、子ども達の頭の中はグルグル一生懸命回り始めます。そこで、「実際に炊いてみたら違いがわかる!」「だしを味見してから作りたい!」という答えが返ってきました。家庭科の授業ですが、理科の授業みたく、さあ実験スタートです。
「ごはん」は吸水時間、炊く時の水の量、蒸らしの時間を組み合わせた六種類の炊き方で実験。
「これはおかゆみたいでベシャベシャ。」
「吸水してないのは…、カタッ。」
「俺はやわらかいほうが好きだな。」
結果的に、ひとそれぞれ好みはあったけど、やっぱり教科書にも書いてあった作り方が美味しい作り方で意見は一致しました。
「みそ汁」はこんぶ、にぼし、かつおのだしだけの味と、それぞれを味噌に溶いた時の味をみる実験。
「色もキレイだしカツオかな。」
「ウェ~、にぼしはにがい、ペッ…先生うがいしてきます。」
「あれ、にぼしと味噌を合わせたらうまい!これに決めた!」
「昆布は……俺の舌には合わないな。」
実験の結果、一人はかつおだし、もう一人は煮干しだしを使ってみそ汁を作ることに決めました。一人にいたっては、煮干を味見したときに吐き出していたのに、味噌と合わせた時の旨味を知り、煮干だしに決めました。実験をしたことによって、何でその炊き方が美味しいのかがわかり、自分好みのだしを知ることもできました。
実験の結果を参考にし、自分たちで調理の計画を立てて、実際に調理しました。もちろん、みそ汁に使った具材「大根」「ネギ」「さつまいも」「みそ」は家庭学校で作ったものです。出来上がったごはんとみそ汁を寮長、寮母を招いて一緒に、
「いただきます!」
みんなが一口目を口に入れるまで、シーンと何とも言えない空気が流れます。
「あ、美味しい」と言われると、ホッとした安堵の表情とともに、ニッコリと大きな笑顔をみせました。その後、自分達も大きな口でご飯を頬張り、みそ汁を流し込みあっという間に平らげてしまいました。
今回の授業では、一人でやりきることの大変さと共に「おいしい」と言われる誇らしさを体験できたのではないかなと思います。また、自分たちで問題を解決しようと実験までして答えを出しました。
毎日、喜んだ顔、疑問に思った顔、困った顔、時には怒った顔、子ども達の色々な表情を見ています。でも、最後には大きな笑顔で終われるようにと考えながら毎日を過ごしています。そんなたくさんの表情がこれからもたくさん見られるよう、子ども達と勉強に遊びに共に励んでいこうと思います。
O・Y・K
汽車で帰ったこと
掬泉寮 小五 O
ぼくは、12月27日から1月9日まで帰省をしました。今までは車で児相に行っていましたが、今回はいつもとちがって汽車で行きました。汽車にはあまり慣れていないので少しきんちょうしました。行きの先生はくすのき先生でした。汽車の中は暇だったので、くすのき先生とハンドスピナーをやって暇つぶしをしていました。駅に着いた後はタクシーに乗って児相に行きました。児相で担当の先生や所長さんにも会いました。
家に帰っていろんな人の所に行ったり、いとこに会えて嬉しかったです。あと釧路や旭川に行って遊んで来て楽しかったです。帰りは少しさびしかったです。
帰りの汽車は千葉先生と乗って帰りました。千葉先生がジュースを買ってくれようとしてやさしかったです。けどそのときはジュースを持って来ていたのでいらなかったです。汽車の中で千葉先生とは話をしたりしていました。ぼくはとちゅうで寝て、駅のちょっと前で起きました。寮まで千葉先生が送ってくれました。
汽車に乗って思ったことは、1人では乗りたくないことです。それはいつ何がおこるかわからないからです。シカがぶつかったり雪で止まるかもしれないから1人では乗りたくないと思いました。一緒に乗ってくれた先生ありがとうございました。
楽しかった残留行事
楽山寮 中二 Y
僕は残留中に色々なところに行きました。行った中で一番印象に残ったのは残留中最後の行事の映画とバイキングです。映画はとても面白くて、バイキングは人生初だからとっても楽しかったし、おいしかったです。
見た映画は「鎌倉ものがたり」で、最初にこの映画を見る時に、あの世とこの世を行ききすると聞いていたのでホラー映画かなぁと思っていました。でも、見てみたら全くホラーな感じがしませんでした。
バイキングは最初に釜飯を頼むのですが、僕は飯ではなくうどんをたのみました。その後は、好きなものを食べ放題。制限時間は一時間。僕はいろんなものをいっぱい食べました。カレーにピザにチョコケーキ。あと、僕の好きなチキンナゲットもありました。おいしいものがいっぱい食べられて幸せでした。残留中はとても楽しかったです。
残留をふりかえって
石上館 中卒 K
私は、初めての残留で、楽しかったことを話したいと思います。
一つ目は、クロスカントリーをしたことです。最初は転ぶことが多く、あきらめていました。でも、鬼頭先生のアドバイスのおかげで上手になれました。できるようになると楽しくなりました。
二つ目は、スキーです。ロックバレーで滑りました。不安もありましたが、滑ることができ、すごく楽しかったです。 三つ目は、スケートです。初めてやることが多かったのですが、一番難しかったです。バランスをとるのが大変でした。後ろの方にイスがあったのでそれを使うと、滑れるようになってはまりました。またやりたいぐらい楽しかったです。
次は寮生活についてです。石上館に各寮から残る人がきました。五人でしたが、一日一日をおちついて仲良くすごせたと思っています。行事では、一つ一つみんなで楽しめました。
残留期間では先生方のお世話になりました。とくに、行事などの移動のときに運転していただいたことです。長い時間ありがとうございました。そして、一つ一つの行事をみんなが楽しめるよう考えていただきありがとうございます。
正月も夜おそくまで起きていることができました。食事もおいしいご飯を毎日食べさせていただきありがとうございます。自分が思っていたよりも楽しかったので、今年は良い年になるように生活していきたいと思います。
冬の残留は、今回で最後になってしまうと思いますが、残留での生活を忘れず、ふだんの生活でも生かしていきたいです。ありがとうございました。