ひとむれ
このコーナーでは、家庭学校の月毎の機関誌である『ひとむれ』から一部を抜粋して掲載しています(毎月上旬頃更新予定です)。
職員が、家庭学校を通じて感じたことや伝えたいことを表しています。是非、ご感想をお聞かせください。
※都合により『ひとむれ』本誌と内容が異なる場合がございます。ご了承下さい。
巻頭言
バター・チーズ工房の現状とこれから
〈児童の声〉
校長 清澤満
新年おめでとうございます。
旧年中は皆様からたくさんのご支援を賜り心からお礼を申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
本校は十二月二十三日から二週間の冬季一時帰省期間に入り、各寮から本館に上がってくる子ども達の姿は見られず、物足りなさを感じる年末年始です。期間中、家族のもとに一時帰省する子や児童相談所の一時保護所で数日間過ごす子など様々で、残留する子ども達の入れ替わりが多くなるのは例年と同様です。在籍の十五名中少ない時で三名、多い時は九名が残留寮で生活します。この間、盛り沢山の行事が計画されていますので退屈することはないでしょう。ケガのないよう楽しんでほしいと思います。
遠軽の今冬は雪の訪れが遅く、降雪量も少なく経過していましたが、クリスマス礼拝・晩餐会の前日には纏まった雪が降りました。十二月十八日(日)と少し早めのクリスマスでしたが、真っ白な雪が一面に広がるホワイトクリスマスとなりました。午前中の礼拝では「今年の漢字」の話題からお話をしました。
* * *
今日は、漢字のお話をします。
皆さんは一年に三回、漢字の検定試験にチャレンジしています。この漢検を実施しているのは日本漢字能力検定協会というところです。その協会が、あなたが選ぶ「今年の漢字」一文字を毎年全国から募集しています。
今年は二十二万通以上の応募があり、その中から選ばれたのは「金」という漢字でした。さて、皆さんだったら何という漢字を選ぶでしょうか。
「金」の文字が選ばれたのは、東京オリンピック・パラリンピックで日本の選手がたくさんの金メダルを獲得できたことや、大リーグの大谷翔平選手がMVPをはじめいろんな賞を総なめにしたり、将棋の藤井聡太さんが史上最年少で四冠を達成するなど、いろんな分野で金字塔が打ち立てられたので「金」を選んだ人が多かったのではないかと報道されていました。
それでは、この「金」に次いで応募数が多かった漢字は何か分かりますか・・・。それは「輪」という漢字でした。一位の「金」とは僅かな票差だったようです。「輪」が多かったのは、多分「金」と同じで、オリンピックを五輪と連想した人が多かったからだと思います。もし家庭学校が選ぶとしたら、私は「金」よりもこの「輪」の方がいろんな意味で相応しいのではないかと感じました。
皆さんもテレビで観たと思いますが、オリンピックの開会式で登場した大きな五輪の「輪」に家庭学校の展示林で育った木が使われました。その展示林の木が今から五十七年前に開催された東京五輪の時に各国の選手団が持ち寄った種から育った木だったので、前回大会からのレガシーとして今回の東京五輪で使われたのです。レガシーとは「次の世代に受け継ぐもの」という意味です。
五輪のマークにはいろんな意味があるようですが、よく言われているのが、五つの「輪」が世界にある五つの大陸を指しているということです。その五大陸とされているヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアを「輪」で繋ぎ、オリンピックを通じて世界は一つになるということを表しているそうです。世界中が注目するスポーツの祭典であるオリンピックの「輪」に家庭学校の木が使われたのは本当に凄いことだと思います。
「輪」にはそれ以外にも「友達の輪」とか、大きな災害が発生したときによく「助け合いの輪」とか「協力の輪」が広がっていったという使われ方がされます。今年も豪雨などで大きな被害を受けた地域がたくさんあったので、人と人との「助け合い」だとか「協力」といったことをイメージして「輪」を選んだ人も多かったのではないでしょうか。
皆さんも誰かが困っていたり、苦労しているところに出くわしたら、助けてあげたり、力を貸してあげたりすることがあると思います。
そんな時には一人より二人、二人より三人が助け合ったり、協力し合う。そうすることで仲間が大きな一つの輪になって、大きな力が生まれる。何をするにもみんなで助け合って、協力しあって一つの「輪」になることができたなら、それは素晴らしいことだと思います。
今日は「今年の漢字」で第二位になった「輪」についてのお話をしました。
* * *
この日の夜の晩餐会に向けて、子ども達も職員も最後の準備に余念がありません。夕刻、厨房では予定されたメニューをほぼ作り終え、大皿への盛り付けなどが手早く行われています。外では各寮手作りのアイスキャンドルに次々と灯りが点され、いよいよ本番を待つばかりです。
午後六時、一群会の子ども達の進行で晩餐会が始まりました。テーブルに並んだたくさんの料理を美味しくいただきながら各寮の演し物を楽しみました。掬泉寮のハンドベルが給食棟に厳かに響きわたり、石上館が熱演した聖劇に皆が微笑ましく見入りました。
コロナ禍で今年もお客様をお呼びできず身内だけの晩餐会でしたが緊張の面持ちで挨拶や進行の役を担った一群会役員の面々。そして練習時間が十分取れない中、本番前のギリギリまで演し物の練習を重ねたであろう子ども達。準備に当たった職員もみんなが大きな一つの「輪」になって二〇二一年最後の大切な催しを盛会の内に終えることができました。
主幹(酪農担当) 蒦本賢治
昨年十一月に北見市で開催された公益財団法人オホーツク財団主催の「オホーツク発酵食品フェスタ」に参加させていただきました。フェスタはオホーツク管内で生産される発酵食品を取り扱った、トークショーと販売会の催しです。二〇二〇年に第一回目が開催され、来年以降も継続されるようです。北見駅前の商業施設「パラボ」で開催された販売会では、当工房からもバター、チーズ、ヨーグルトを販売し、多くの方にご購入いただきました。現在のところ、当工房では面識のないお客様に対面で販売することはあまり多くありませんので、直接お客様とお話のできる良い機会となりました。
現在、当工房の主な販路は、インターネットを通じた通信販売、遠軽道の駅「森のオホーツク」での店頭販売、ふるさと納税の返礼品としての取り扱いなどです。このほかに、十月と十一月には兵庫県にある北海道チーズ専門店「ほのか」様からのご依頼で、関西地方の百貨店での北海道物産展で販売していただきました。また、施設内での販売は体制が整っていない状態ではありますが、すぐに出せる在庫があればその場で販売することもあります。
インターネットでは道内から沖縄まで全国からご注文があります。それでも、あまり広く宣伝をしていないのでそれほど多くの一般の方には知れ渡ってないでしょうから、普段からの支援者様からのご依頼が多いように感じます。家庭学校のウェブサイトからチーズ販売が行われていることを知った卒業生が、わざわざ足を運んで買っていかれることもあり、嬉しく感じます。道の駅では町内の方や、高速道路を利用して遠軽町にお越しになられた方々のご利用が多いかと思います。地元の方が道の駅に立ち寄るきっかけになったり、遠方の方の土産物として利用したりしていただければ、福祉施設の地域への貢献となりますので良いことと思います。ふるさと納税も地域への貢献という意味もありますが、経営の観点で言えば、大企業がインターネット上で運営する「ふるさと納税サイト」に返礼品として無料で商品を掲載させてもらえるので、あたかも利用者の多いショッピングサイトで販売しているかのようになります。こちらも日本全国から多数のご注文があり、おそらくは家庭学校をよく知らない方も北海道のチーズを探してたどり着き、ご注文いただいているのではないかと思います。そういったご利用者の方々には、これをきっかけに家庭学校を知っていただけると幸いです。本州の百貨店での販売も家庭学校の知名度の向上に役立ったのではないかと思います。
そういった中で、生産が追いつかずに出荷数を制限させてもらうことも多くありました。スタートアップとしてはまずまずの立ち上がりなのではないかと思いますが、次のステップとして安定した供給をできるような体制を整える必要があるように感じます。
現在は、周囲の方々にもご協力や応援をいただきながらではありますが、製造・販売に関してはほぼ一人で行っております。生産規模と対比すると過不足はないのですが、酪農作業や作業班への参加など他業務もありますので生産量をこれ以上に増やすというのは簡単ではありません。福祉施設の中でやっていることなのでそれほど大きくする必要もないという考えもありますが、持続可能な経営規模を確立する必要はありますし、需要には可能なかぎり応えていきたいと思います。市場に出れば経済競争にも晒されますので、現状を維持できればよしということにはならないでしょう。
単純に人を増やせば、設備を増やせばということでもありません。よく考え工夫する必要があります。組織で経営している工房ですので、これからどうするのかというところは、多くの人に関わってもらい意見を出し合っていただきたいところです。例えば、福祉分野の視点から農福連携としてどのように活用できるのか、や、これまでに築いてきた販路を乳製品の販売に留めず、他の何かの販売や家庭学校の活動の広報に活かせないか、などです。このような発展、拡大を見据えて家庭学校の事業全体の中にこの工房の立ち上げの意味を見出していただければと思います。そうすることで、今後五十年、百年と時代の変化に適応しながら家庭学校が工房を続けていくことができるのではないかと考えています。
石上館 K・石上館 S・掬泉寮 Y・掬泉寮 R
「音楽発表会を経験して」
十二月八日にありました音楽発表会について話をしたいと思います。最初にギターを使って演奏すると知った時は、初めて触るので周りの勢いに乱れさせないか心配でした。さらにコードの指使いがなかなか上手く押さえられずに苦戦しました。何回も練習を繰り返して皆で合わせていきました。すると最初の頃よりも徐々に上達していき、曲のテンポにも合わせることができるようになりました。本番の日は、途中で僕が間違って音を出してしまったところはありましたが、練習よりもキレイに、そしてテンポも良く弾けました。今回の音楽発表会では、何事にも挑戦することの大切さを学びました。初めての事でもやり始めると楽しいことや、できる事が増えていくので、恐れずに挑戦することが先々のことに繋がっていくと思います。もう一つは、協力して取り組むことと、楽しむことの重要性です。協力することで、一人では難しいことができるようになったり、また、助け合えるので良い関係性が築けると思います。音楽は文字通り、音を楽しむと書くので、今回は楽しんで演奏しました。この三つが今回学んだことですが、これから色々な場面で生かしていければ良いと思います。
「クリスマス晩餐会について」
クリスマス晩餐会は初めてでどのような料理がでるのか、どのような出し物をするのか楽しみでした。
出し物が決まって聖劇をやることになり僕は女の人を演じることになりました。練習するときは少しいやかなと思いましたができるだけ演じれるように練習しました。声の出し方がむずかしくてなかなかいい声が出ませんでした。
日曜日の夜に晩餐会が始まると最初に会食でした。パンや生ハムサラダ、ローストチキンなどおいしい料理がでました。量が多くてパンが食べれなかったくらいです。
そして出し物は他の寮はハンドベルでした。音色がきれいでした。そして聖劇が始まり緊張したまま僕のセリフの番が来て言うと他の人から少し笑われましたが少し安心しました。後から先生に聞くとこんな人が女の人を演じるんだと思われたそうです。ハンドベルも聖劇も最後までいい感じだったのでよかったと思います。料理はおいしかったし、劇もうまくいったのでよかったです。
外部からのお客さんはコロナでよべませんでしたが家庭学校の先生、分校の先生方とここの生徒でやり楽しい晩餐になりました。
やっぱり楽しい時の中ですごしていると時間が経つのが早いです。晩餐会の時間が終わってほしくないと思うくらい楽しかったです。
でも本当によかったことは小学生から学芸に出たことがほとんどなくセリフを言ったこともあまりなかったですがステージに立たせてもらいセリフを言う場があることがすごく嬉しかったです。
一年に一回しかない晩餐会でしたがすごく楽しかったです。
「クリスマスばんさん会」
僕がクリスマスばんさん会のためにやったことは、ハンドベル練習です。練習した日は、約3~4日ぐらいです。この短い時間でみんなが、がんばって練習しので、本番もうまくでき、練習では、いろいろ大変でしたが本番もうまくいき、よかったです。次にばんさん会の夜ごはんについて話します。おいしいごはんやお肉などがでて、とてもうれしかったです。石上の聖劇がおもしろかったです。ばんさん会の準備でかざりつけがたいへんでかべやドアなどにいろいろなかざりをつけ、きれいでした。最後にかたづけをして、かざりをしまうのに一つ一つきちんとみんなでかたづけきれいになりました。今年のばんさん会はきょねんよりおもしろかったかどうかは、分かりませんでしたが僕的には、今年は、いいばんさん会になったと思います。
「取れると思わなかった銀賞」
僕は木彫展でチップとデールを作りました。正直、最初はめんどくさいなぁと思っていました。ですが、少しずつほっていくとここまでほれたという達成感が得られるようになってきたのでとても楽しいなぁと思いました。そして、みんなからは、「めっちゃ深くほってんじゃん!。」とか、「Rすごいな!」などとほめてくれたりしてくれたのでとてもうれしかったです。昨年と比べてとても上手に作れたと思います。木彫は、技術面だけでなく、心をおちつかせるものでもあると思います。なので、今回の木彫を通して学んだことは、やっぱりとても楽しいことはもちろん、そして、心をおちつかせてくれてとても気が楽になることです。なので、これからはイライラした時などに、心をおちつかせたりする物を使ったりしたいなぁと思いました。