ひとむれ

  このコーナーでは、家庭学校の月毎の機関誌である『ひとむれ』から一部を抜粋して掲載しています(毎月上旬頃更新予定です)。   職員が、家庭学校を通じて感じたことや伝えたいことを表しています。是非、ご感想をお聞かせください。

※都合により『ひとむれ』本誌と内容が異なる場合がございます。ご了承下さい。
2012年07月号

創立の思いを新たにして

校長 熱田洋子

 創立者留岡幸助先生が設立し、昭和43年に北海道家庭学校がそこから独立した社会福祉法人東京家庭学校を初めて訪ね、今井譲常務理事、松田雄年校長にお会いしてきました。北海道家庭学校とは随分対照的で、大都会の人口が密集した街の真ん中、交通量の多い幹線道路に面して施設があります。現在は、児童養護施設と保育園を中心に運営されていて、当校のように礼拝堂で礼拝を守ること、平和山記念碑に慰霊登山をすること、子どもがお祈りをする習慣を続けていること等は見られませんが、毎年度の事業計画の冒頭に創設の精神と事業目的を次のように掲げています。

「本校は、わが国近代社会事業史上の先駆者留岡幸助により、キリスト教精神に基づいて1899(明治32)年に民営の感化院として創設された児童福祉施設である。当初は代用感化院という位置付けだったが、時代の推移につれて少年保護施設、養護施設、そして現在は児童養護施設に至っている。校祖留岡幸助は、本来感化院のあるべき塀や格子の代わりに、『愛こそが最も強固な障壁である』という、”愛”という絆で覆われたものを理想とし、また『子どもは、救うべきもの、導くもの、教うべきもの、愛すべきもの』という児童観にに基づき、『家庭にして学校、学校にして家庭、愛と智がいっぱいにあふれた環境』での家族舎制度(ファミリーシステム)と生活教育を掲げ、『能く働き、能く食べ、能く寝むらしめる』という三能主義(留岡精神)のもと、個性を重視した人格形成のために、少年達と生活を共にしてきた。東京家庭学校は、この伝統と精神を今も尊重しながら、子ども達の声に耳を傾け、自己選択と自己決定を優先し、自立支援とサービス向上に最善の努力を尽くしている。」私たち北海道家庭学校においても、絶えず創立の精神を覚えて、皆さんに周知するため事業計画に書き記そうと思います。

 東京都では、児童養護施設に対する独自の施策もあり職員配置は恵まれていること、また定員内で児童自立支援施設の退所者が利用できるグループホームが設置されていること等、東京家庭学校ならではの取り組みがありますが、子ども達に都会では得られない自然の中に出てその営みを感じながら時を過ごす体験をさせたいと、松田校長がおっしゃる言葉がとても印象的で、北海道家庭学校にあるものを生かして、自然の感化「人は地を化し、地は人を化す」力を活用し、流感悟道で山林、蔬菜、園芸、酪農の作業や味噌作りに励み、森から得た蒔きで風呂を焚く、毎日の生活に必要な働きに汗して一歩一歩成長する過程を大事にしたいと思います。

 留岡幸助先生は、著書『自然と児童の教養』の中で、こう書いておられます。

「家庭学校農場の土地を開いて農作物を得るのが目的ではない寧ろ土地を開墾するのは惑る事業を営む手段である。惑る事業とは何であるか、教育である。」

「教育農場」であるという思いを新たにし、今北海道家庭が校に与えられている自然、地域や人材の賜物を大いに生かして、子どもたちの自立に向けた教育を進めてまいります。

 白滝にある家庭学校の土地と済美館の様子を六月半ばに見てきました。川のそばの狭い土地を貸しているのですが。七、八年前から夫婦一組が住み、十羽ばかりの養鶏と山菜採り、椎茸栽培などをされています。済美館はフキや草が伸びて、この夏には草刈りが必要です。建物は数年前に役場が補修してくれたので、林間学校のような使い方も可能でしょう。

 後援会が6月17日に開かれ、平成23年度事業報告と決算、24年度事業計画と予算が承認されました。後援会の皆様のご尽力に感謝し、今後とも力強く応援してくださるようお願いいたします。